BANDAI 2016年6月25日發售: 食玩 1/144 SUPER MINIPLA 戰鬥機械(War Machine) Xabungle 共4種 @850Yen

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BANDAI 2016年發售 食玩新系列 戰鬥機械(War Machine)  Xabungle、Gallop、Trad11。
比例約1/144,Xabungle WM 高125mm,Gallop 高約55mm,Trad11 高約55mm。
多色成形,需要自己組裝。
換件變形,共4款。

 

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スーパーミニプラ 戦闘メカ ザブングル

食玩キット「ミニプラ」の大人向けシリーズ ブングルスキッパー、ブングルローバー、トラッド11、ギャロップをPS素材キットで立体化。
4種揃えるとフル装備状態のザブングルが完成します。

全4種
・ブングル・スキッパー
・ブングル・ローバー
・トラッド11タイプ + オプションセットA
・ギャロップタイプ + オプションセットB

1BOX(4個入り)での販売となります。

(C)創通・サンライズ

話題作誕生の秘密とは!? バンダイキャンディ「スーパーミニプラ」開発者インタビュー!

発表後、たちまち話題沸騰となった「スーパーミニプラ 戦闘メカ ザブングル」。電撃ホビーウェブ編集部では、この大型新アイテムの企画を担当した田中宏明氏(バンダイキャンディ事業部)と、実際の設計を手がけた柳沢 仁氏(アーミック)のおふたりにお話をうかがいました。

 

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大ボリュームのインタビューとなったため、本日(1月29日)、明日(1月30日)の2日連続更新! 前篇となる今回は、企画の成り立ちから製品としてのツボなど、ホビーファンにとって気になるポイントを貴重な画稿と共にご紹介します!

 

【Profile】

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田中宏明(たなか・ひろあき)
現バンダイ キャンディ事業部 玩具菓子チームマネージャー。多くのハイターゲットトイの開発を担当し「超合金魂」「ROBOT魂」シリーズなどにも深く携わる。

 

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柳沢 仁(やなぎさわ・ひとし)
アーミック取締役。「ROBOT魂<SIDE AB>」シリーズや、R3「ウォーカーギャリア」などの開発に携わる。

 


 

■「スーパーミニプラ 戦闘メカ ザブングル」への道

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――本日はよろしくお願いいたします。さて、話題沸騰の「スーパーミニプラ 戦闘メカザブングル」の話題の前に、まずはおふたりが今までに関わったアイテムを教えていただけますか?

 

田中宏明氏(以下、田中):
10年ちょっと前、トイ部門のハイターゲットチーム(現コレクターズ事業部)に所属して、「超合金魂」をはじめ大人向けトイを担当していました。その時に「超合金魂」の「ザブングル」「ウォーカーギャリア」「アイアンギアー」をデザイナーの加藤大志さん(※1)と共に手がけています。あとロボット繋がりだと「魂SPEC」シリーズや、「ROBOT魂」の『機動戦士ガンダム00』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』、『フルメタル・パニック!』などですね。ロボットものはとにかく幅広く担当していて、バンダイの中でも、担当した作品の幅はかなり広いほうかなぁと思います。ロボットアニメに関しては’70年代の作品から現在に至るまで、浮気性な感じで、守備範囲を広く(笑)。

 

(※1:フリー玩具デザイナー。アニメーターとしての経験を経て1991年(株)プレックスに入社。戦隊ロボや超合金魂シリーズのプロダクトコンセプトデザインを担当。「超合金魂 ザブングル」では、完全変形の機構提案とプロダクトスケッチを行い、同シリーズの「ウォーカーギャリア」「アイアンギアー」他、現在も多くのロボットトイを手掛ける。2001年からフリーデザイナーとして活動。)

 

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田中:

2014年にキャンディ事業部に異動してからは、柳沢さんと一緒に「ネオ・ジオング」から始まった「アサルトキングダム」(※2)の大型アイテムなどを担当しています。マネージャーという立場ですし、シリーズ全体のメイン担当でもないので、今はたまにちょっかいを出して自分の好きなことをやるという……仕事としてはちょっと、不届き者な感じですけど(笑)。

 

(※2:バンダイキャンディ事業部が展開する食玩シリーズ。全高:80ミリ程度のサイズながら高いアクション性能を実現した高い人気を誇る)

 

――お二人はすでに「アサルトキングダム」の大サイズアイテムでタッグを組まれているんですね。その柳沢さんは、今までどんなアイテムを……?

 

柳沢 仁(以下、柳沢):
けっこう年なんで、いろいろと(笑)。私個人としては、創刊当初の電撃ホビーマガジンさんや、その前身の情報誌・B-CLUBさんでライターをしたこともあるんです。あわせて玩具などの企画開発を手掛けるアーミックという会社に所属していまして、そちらで主にホビー事業部さん、コレクターズ事業部さんといっしょにお仕事をしています。

コレクターズ事業部さんとは、ROBOT魂の『聖戦士ダンバイン』シリーズなんかを手がけました。『ザブングル』関連でいうと……じつは、10年前にホビー事業部さんから発売された、R3シリーズの「ウォーカーギャリア」にも携わっていたんです(笑)。

 

―― そうなんですか!

 

田中:
そうなんです(笑)。それぞれが別のラインで10年前にもザブングルの一時代を作っていたんです、超合金側とプラモ側で。

 

柳沢:
田中さんとは数年前から「『ザブングル』のアイテムをやりたいよね」という話をして、ノリノリになってたんですけど、その直後に田中さんがキャンディ事業部に異動されたため、その話は流れてしまったのです。でも、田中さんとはキャンディ事業部でも一緒に色々とやることになりまして。そこからまた「ザブングルをやろうよ」となり、「ああ、これはもうやらなきゃ」と(笑)。

 

――10年たって、改めて超合金魂とR3のザブングルチームが合流したんですね。それで、「これはいける!」と。

 

田中:
はい、もちろんです……もしかしたら、「いける!」と思っていたのはキャンディ事業部では僕だけかもしれないんですけど(笑)。

 

■なぜ2016年に『戦闘メカ ザブングル』?

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――さて、さまざまなロボットアニメのなかで、今回はザブングルをチョイスした理由はなんだったのでしょう。

 

田中:
じつは最初は「スーパーミニプラ」ではなかったんですよ。この企画。

 

――そうなんですか?

 

田中:
まずは「アサルトキングダム」シリーズでサンライズアニメのロボットを立体化する、という企画を柳沢さんと進行していたんです。そこでも、まず最初にザブングルをお願いしていました。僕としては「超合金魂ザブングル」のころから、『ザブングル』ファンの反応に、非常に強い手応えを感じていましたから。

 

柳沢:
当時の企画だと、小サイズのザブングルから始まるサンライズロボのシリーズということで、ほかにも『聖戦士ダンバイン』や『重戦機エルガイム』などができたらいいな、と。

 

田中:
で、実際に試作があがったときに、柳沢さんのほうから「もうすこし大きなサイズのほうが楽しくないですか?」って(笑)。

 

柳沢:
いやいやいやいや! サイズは田中さんからのご提案ですよ!(笑)

 

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田中:
どちらから出てきたかはともかく(笑)。やはり小サイズでは、どこか物足りない。あわせて、仮に「アサルトキングダム」のフォーマットで『ザブングル』を出した場合、一個一個がすごく割高になってしまう可能性がある。そこでほかのバリューの出し方を模索することになったんです。そのときに頭の中にキャンディ事業部の「ミニプラ」が思い浮かびまして。
この「ミニプラ」というのは非常に秀逸なフォーマットで、複数に分けて販売されているメカを合体させて、ひとつのロボットが完成するんです。僕らの世代だと、昔懐かしのアオシマさんのキットのイメージですね。今も昔も通用する、強いフォーマットです。これで何かできないかな、という考えがずっと心の中にあったんですが、分離変形合体のできるザブングルなら、この「ミニプラ」のフォーマットともしっかり合致する。それで「やろう!」となりました。

 

柳沢:
最初はサンライズロボ全般をリリースする、という話だったのが、ここで急にザブングル一本になったんで……正直をいうと、「大丈夫かな……」と心配ではあったんです。田中さん、平気なのかなと(笑)。
僕としては、この「ミニプラ」のアイデアは面白そうだったのでぜひ形にしたかったんです。そこで最初のプレゼン用に、他のアイデアもお渡ししたんですよ。それと『ザブングル』でプレゼンにかけてもらえるように。で、結果を聞いたら「いや、満場一致でザブングルになりました」っていう話で、「えっ!?」って(笑)。すごい話だ、と思ったんですけど、実際に色んな人から話を聞くと、何か、どうも、ちがうみたいな……。

 

田中:

企画会議に提出した資料なんですけど、明らかにザブングルのほうが分厚く作ってしまいまして。その会議で「こっちがやりたいんだよね?」ってなってすぐに決まりました。ただ、僕の上司が苦言を言うんです、「……ホバギーが入ってないじゃん」と(笑)。普通、上司ってもっと別のことで反対すると思うんですよ、「これが売れる根拠は何?」とか。

 

柳沢:
「採算にあってるのか」とか。いやー、いい職場ですよねー。

 

田中:
上司はキャンディ事業部のゼネラルマネージャー・・・要するにトップなんですけども(笑)。同じく『ザブングル』世代なので、凄くこだわるんですよ。試作を見て、「キャノピー、クリアーじゃないの?」って言ってきたり(笑)。「お前のザブングル愛はこんなものなの?」くらいの勢いで言ってくるので、見返してやろうと(笑)。

 

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―― みんなで一丸となってこのステキな立体が……。

 

田中:

いや、それだと僕と上司と柳沢さんしか一丸になってないじゃないですか(笑)!
最近、受注が好調なんですけど、それを見た社内の他のメンバーから「本当に売れるんですね!」っていわれて、「え、売れると思ってなかったの……」とショックを受けるという……(笑)。後で聞くと、僕ら以外のメンバーは「ざぶんぐる……?」ってポカンとしていたらしいです。
まじめな話、セールス面で言うと、超合金魂とR3の数字は、会社の実績として残っているので、そのユーザーが改めて買う、という前提に立てば、数字の根拠はあったんです。

 

柳沢:

キャラクター的にも、やっぱり強いと思うんですよ『ザブングル』は。ロボット作品の中でも、富野由悠季監督作品でメジャー級。時代としても、『ガンダム』『マクロス』に次ぐ作品ですし。

 

田中:
無謀な暴投をしてるつもりじゃなかったんですけど、あの、周りから見ると「何をやっているんだろうこの人は」っていう……(笑)。

 

―― そういう経緯があって、あらためて、完成品ではなく、キットというかたちで企画がスタートしたと。

 

田中:
『ザブングル』については、昔のキットに対するこだわりをもっている濃いファンがたくさんいるという確信めいたものはありました。今もキットが再販されるたびに人気になりますし。
一方で、10年前の「超合金魂ザブングル」や、R3の「ウォーカーギャリア」によって、ファンの皆さんが満足してしまっている可能性はある……! ということを、唯一心配していたんです。僕自身、超合金魂でやりきったと思ってたぐらいだったんです。でも柳沢さんと話をしていて、そんなことはないな、と。

 

柳沢:
「ザブングルの変形・合体するキットってないですよね」っていう話になって。『ザブングル』のキットは傑作ぞろいで、機種・スケールを問わず素晴らしい仕上がりなんですよ。ただ、当時のザブングルは1/144も1/100も変形合体が再現されてなかったんです。R3でもザブングルはリリースされませんでしたし。唯一、完成品の「超合金魂ザブングル」だけが変形合体できる。その再現と、湖川友謙さんの画稿の、肉感的な面取のザブングル。それを両立したプラキットを、ぜひやってみたいというお話をさせていただきました。

 

田中:
そこで「ザブングルのキットってちゃんとリニューアルしてもいいんじゃない?」となりまして。
フタを開けてみれば、凄い大反響で。そこは安心というか、嬉しかったですね。ああ、みんな、ザブングルが欲しかったんだ、と。
あとは、柳沢さんが「食玩だからこれくらいにしておいたほうが良いんじゃないですか?」っておっしゃるのを「いや、もうちょい……もうちょい……」とやってて、気付いたら、サイズも仕様もゴージャスになっていました(笑)。

 

■「スーパーミニプラ」の仕様に迫る! (パーツ分割篇)

 

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――成り立ちとコンセプトをお聞かせいただいたところで、いよいよ商品の「ザブングル」について詳しくお聞かせください。

 

柳沢:

田中さんの作られた超合金魂という存在があったので、あれに勝るとも劣らないモノにしたい。ほぼ同じサイズの立体物ですので、どう差別化しつつ魅力あるモノにできるか、というところがやはり難しかったです。そのあたりを考えて、今回、変形は思い切って差し替えにしました。コスト的な面もありますが、設定通りの変形を再現すると、脚の側面のウイングの形が劇中と違うものになる、という理由が大きいですね。ここを差し替えとして割り切ったことで、劇中同様のシルエットが再現できたんです。これは一例ですが、そんなかたちで全体的にシンプルに、且つそれぞれの形態をベストな形にもっていけたかな、と。

 

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田中:
僕も、超合金魂のザブングルを手がけていたので、完全変形を求めたときのメリットもデメリットも分かっていました。なので、今回はあえて差し替えで、ウォーカーマシンとしてのザブングルの魅力を出したい、というコンセプトになりましたね。実際に手に取っていただけると伝わると思うのですが、差し替えの割り切りが、結構面白いんです。ブングル・スキッパーになったとき、胸部で車高を調整するための割り切りはけっこう秀逸で、見所ですね。

 

柳沢:
ザブングルは、タイヤの移動とその位置関係がとくに複雑なので、変形させようとすると、やっぱりヒンジの上下関係も煩雑になっていくんです。中途半端にやると、ヒンジを配置したうえに、差し替えのパーツも必要になってしまう。なのでしっかり割り切って、「これくらいはいいだろう!」とガンガンガンガン押していった、という感じです。

 

田中:
その設計の妙は、手に取ると「こう来たか! でも、こういう差し替えって、食玩だったらアリだな!」って思ってもらえるんじゃないかと。ちょっと大胆なアイデアに笑ってしまったというか。是非、楽しみにしていてください。

 

――超合金魂をふまえたうえで、もうひとつの決定版! というわけですね。

 

柳沢:
そのつもりではあります。

 

田中:
もともと超合金魂でも、1/144スケールのプラモデルと並べる、ということもイメージはしていたんです。とは言え合金トイとして旧クローバートイのブラッシュアップがメインのテーマでした。おまけのブラッカリィは、完全にプラキットのつもりで作ったんですが(笑)。

 

柳沢:
トイとしてのギミックをメインとする超合金魂。対して、これはミニプラということで、プラモデル的な商品。どちらも決定版といってもやはりアイテムとしての方向性の違いはあると思います。
こちらとしては、やっぱりユーザーの皆さんが手を入れていただいて、好みの形にできる素材というのが重要なポイントですね。このスーパーミニプラを、塗装や改造の素材として見ていただければ、っていうところもありますね。

 

田中:

成形色の段階で色分けはけっこうされているので、上級者でなくても、シールと成形色で、劇中イメージに近いものが仕上がります。赤と青と白とグレーはほぼパーツで色分けされて、一部のラインや黄色をシールで補うかたちですので、最近のキットに慣れている方であれば問題なく組み立てられると思います。

 

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―― かなりしっかりと色分けされているんですね。

 

田中:
赤色の部分を別パーツにするかは最後まで悩みました。最初の成形色は青と白だけだったんです。でも、ザブングルのキットを作った当時、僕は筆塗り塗装だったんですが、青の成形色には赤は乗らなかったなー、という記憶が蘇りまして(笑)。後は胸の部分など、赤いシール貼るにしても、かなりテクニカルな部分もあるな……という理由で、赤い箇所に関しても、最低限の分割はすることになりました。タイヤガードの赤いラインはシールなんですけど、ここは貼りやすいからいいかな、と。どうせ自分も買うんですから、そのときのことも考えて製作しています(笑)。

 

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――なるほど。ちなみにキットはスナップフィットで……?

 

柳沢:
接着剤は不要です! 食玩なので(笑)。

 

――さて、モデラーの方の中には、材質が気になっている方もいらっしゃると思いますが。

 

田中:

材質はPSという、ガンプラなどとおなじ材質ですので、加工も塗装もやりやすいかと思います。これもキャンディ事業部では異例で、あんまり使わない素材ですね。

 

柳沢:
僕もまだキャンディさんのPS素材の製品は見たことがないので、期待しています。やっぱりABSとPSだと素材の違いで、PSのほうがディテールが綺麗に出やすいんですね。流動性の違いで、きっとその素材の部分でのこだわりも、今までの常識を覆すような食玩になるのではないかと思います。

 

田中:

ドキドキしますね(笑)。普段は対象年齢のこともあって、頑丈で柔軟なABSを使っているんですが、これは値段も含めて、大人が買うアイテムだよね、ということでPS素材を使うことになりました。関節部分もポリキャップではなく、PS素材です。ここは……すみません(笑)。

 

――なるほど。関節はPS製なんですね。

■「スーパーミニプラ」の仕様に迫る! (ギミック&ギャロップ/トラッド11篇)

――ちょうど関節に話になったところで、「スーパーミニプラ」の可動についておうかがいしたいと思います。

 

田中宏明氏(以下、田中):
可動についても湖川さんの画稿のイメージや、オープニングなどの印象的なポーズをとれる、そういったところを目指しています。

 

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▲『戦闘メカ ザブングル』オープニングより。ダイナミックなアクションですが、これを再現することを目標に「スーパーミニプラ」は開発されたとのこと。

 

(アクションポーズの写真はこちらのサイトから確認できます⇒バンダイキャンディ事業部内特設サイト

 

柳沢 仁(以下、柳沢):
必要最小限の可動は入れよう、というかたちでやっています。特にオープニングでのザブングルが地面を滑走するシーン。あれは確実に再現できるようにしたい、と思いましたので、足首には気を使いました。ザブングルはデザイン的にスネの部分に足首をカバーする大きなパーツがあるので、これが可動のネックになるんで、結構工夫しましたね。

 

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▲足首の可動範囲(上)と、キットでの関節構造(下)。かなり大きな可動範囲となっており、接地性抜群。

 

田中:
アクションフィギュアではないので、多重関節で超絶可動とか、そういうことはありませんが、必要十分な動きで、まずはオープニングのイメージでポーズをとれるように頑張っています。
もちろん、より上を目指す方はぜひ腕を振るっていただければ。PS素材ですので、改造もし易いと思いますし。スカートの部分もガンプラ的なフォーマットとは、少し違う動きをしています。

 

▲「ザブングル」胴体部分のパーツ分割はこのようになっています。インタビュー中に話題となったスカート部分の構造のほか、肩関節の可動への配慮に要注目。

 

柳沢:
フロントとサイドを一体化して、フンドシ部分に接続したボールジョイントで可動するようにしているんですが、これも部品を減らす工夫ですね。それぞれ独立して動いてしまうと、その数だけ可動部が必要になってしまうので、どんどんパーツが増えちゃうんですよ。食玩でこのサイズなんで、あんまり細かい部品を入れるのもためらわれましたし。

 

田中:
このあたりコスト的な部分もありますし、ウォーカーマシンって兵器じゃなくて、車だよね、と考えると、腰はきっとバンパーかカウルみたいなイメージで、あまりバラバラと動かない方がいいよね、という気持ちもちょっとありますね。あとは、腰や首も効果的に動きます。よく動くザブングルというと、アクションフィギュアの「WM in ACTION!! (OFFSHOOT)」くらいで、超合金魂も変形重視だったので、自分の中でもこれは新鮮です。超絶可動では無いんですが、ザブングルとしてここまで動く、というのもポイントですね。

 

柳沢:
可動のために、パーツの空間やスキマも多いんですけど、そこも割り切って作っているところですね。プロポーションに関してはシンプルだけど劇中イメージに近い、2016年だったらコレがベストだろうというものは完成させられたので、そういった部分が気になる方は手を入れていただければ、もっと良くなるよ、と。
ある意味、食玩・ミニプラだから許される仕様であるかもしれないですよね。

 

――結構、冒険的ではありますね。

 

田中:

冒険的といえば、こちらも本アイテムのオリジナルギミックで、ロケット砲やミサイルランチャーは、劇中ではブングル・ローバーにロープでグルグルとくくりつけていたんですけども、今回は武器を直接装着できるようになっています。設定にはありませんが、食玩のプレイバリューとして、フル装備のザブングル・カーを楽しめるようになっています。

 

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▲劇中ではロープで固定されていましたが、「スーパーミニプラ」では脚部のウイングに装着する独自のギミックを搭載しています。

 

――さて、それではトラッド11とギャロップタイプについてもお聞かせください。

 

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田中:
ギャロップ、トラッド11は柳沢さんのこだわりもあっての登板です。むちっとした劇中のフォルムを再現したいと。

 

――プラモデル版は、たしかにメカメカしい形状のギャロップでした。

 

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柳沢:
アニメや設定画ではどれもムチッとした感じなんです。当時のプラモデルは手足が細くて、精密で格好良い、メカニックとしてクールなイメージでした。ただ、やっぱり劇中や設定画イメージの立体が当時から僕は欲しいと思っていて。でも、「ギャロップを商品化」なんていう機会はなかなかないじゃないですか(笑)。今回、ザブングルをミニプラのフォーマットで、分割して販売してみようか、と田中さんがおっしゃったので「じゃあほかの箱は何を入れますかね?」という話の流れの中で、「武器を別にして、小さいウォーカーマシンを入れる」「あ、じゃあギャロップをやりましょう!」という話の流れでした。

 

▲「スーパーミニプラ」ギャロップタイプ、トラッド11三面図

 

――そこで、この2体に白羽の矢が。

 

田中:
最初の頃はクラブタイプを上半身と下半身で分けて……という話もあったんですけど、コストの問題で実現しませんでした(笑)。

 

柳沢:
クラブタイプだと、もう何がメインか分からなくなりますよね(笑)。

 

田中:
そこまではできなかったですね(笑)。今回思ったんですけど、どのウォーカーマシンもやっぱり好きなんですよね。ザブングルという主人公機を良い物にしたい、という思いも有るんですけど、小型ウォーカーマシンをわらわら買って、自分の好きなように改造したい、仕上げたいっていう。

 

――どちらも色が2種類用意されるとのことでした。

 

田中:
はい、サンドカラーとグリーンですね。皆さん機体へのイメージがそれぞれあると思うので、どちらかだけにはしたくない、と。そこで登場頻度が多かったサンドカラーとグリーン、どちらかを封入しています。機体色が複数用意されているというのは、当時のプラモデルの「★ウォーカーマシンの設定には特に決まった塗装はありませんので、自由に塗装してください」という、組立説明書の注意書き。あの自由な感じも意識しています。ガンプラブームでプラモデルを学んだ小学生が、次の瞬間「好きに塗りな」って突き放されてしまう衝撃。しかも「こんなパターンはどうですか」って載っているのが複雑な迷彩塗装! 小学生には無理! っていう。あの突然荒野に放り出されたような感じも良い思い出なんです。

 

▲ギャロップタイプとトラッド11のパーツ分割。それぞれにサンドカラーとグリーンの成形色があります。

 

――’80年代のプラモブーム世代は、食玩キットへのある種の郷愁や憧れがあると思います。

 

田中:
今回のスーパーミニプラは、従来のミニプラフォーマットでもあり、かつてのアオシマさんの「ミニ合体」的ともいえる「低価格分割キット」を愛する気持ちが源流にあります。あと、直接的な影響はないのですが、郷愁という点で外せないのが、カバヤ食品さんのダグラムガムやボトムズガム。世代として「あの異質な食玩」へのリスペクトはありますね。そもそも我々の、ガムと合わせてトイやキットを販売する、というその流れ。それを作ったのは、ビッグワンガムではないかと思います。あの当時の「すごいプラモデルがお菓子売り場で100円くらいで売ってるぞ」という衝撃。それは、食玩のルーツを語る上で欠かせないですし、ダグラムガムやボトムズガムに至っては、「ツヴァークが出るんなら、こっちで集めるよ」って(笑)。完成度だけじゃなくラインナップの妙も含めて、食玩の身軽さや懐の深さは、当時から脈々と続いてるものです。お菓子だから、食玩だからこその身軽さで、模型売り場やオモチャ売り場でできないことだってできるんだよ、っていうスピリッツがあるかな、と。 模型であるからには模型の様式美が、オモチャであるからにはオモチャの様式美があるじゃないですか。でも、食玩はそのハードルが少しだけ低いんです、きっと(笑)。 今回のザブングルの変形方法は、食玩だから許されるんじゃないかな…っていう、そういう大胆な差し替えです。また、サイズ的には1/144に近いんですが、特に模型的スケール表記はしていません。スケールに縛られると後々自由でなくなってしまうので(笑)。

 

――食玩にして模型にあらず、という。

 

田中:
……と言いながらも、今回のキットが支持を受けたのは、やはり当時のバンダイ模型(現ホビー事業部)のプラモデルあったからなのは間違いないことで、何よりものリスペクト先は、当時の素晴らしい完成度のキットシリーズですよね。その原体験があるからこそ、みんなザブングルのキットに反応してしまうんだと思います。あの、オーパーツ的な完成度。当時の記憶が美化されているかと思いきや、今見ても凄い。「あのとき良いキットに出会えた」という思い出を30何年経っても忘れられない人がやっぱりこれだけいたのか、というのが今の感想ですね。けっして、リメイク作品が作られたわけでもなく、何があったわけでもないのに。

 

■「スーパーミニプラ」のこれから

―― さて、ちょっと気が早いのですが、次のアイテムが気になっている皆さんも多いかと思います。

 

田中:

特別サービスでちょっとだけお見せいたします。ザブングルとも縁深い、赤いロボットでして……。

 

▲そこには赤い巨体が……。

 

――また、これは、すごいものが! しかし納得のチョイスですね!

 

柳沢:

これは、より暴走してますね。

 

田中:

暴走してますね。組み合わせると製品サイズはザブングルの1.5倍くらいになるでしょうか……。ただ、まだなにも決まっていません(笑)。

 

柳沢:

だいたい当時のあのサイズ感です。

 

田中:

スーパーミニプラは、ひとつの機体を複数に分けて販売するフォーマットに則って始まったのですが、そこに捕らわれすぎず、「食玩は自由である」っていうところを体現していくシリーズになればと思っています。’80年代のロボットも大好きなので、それをやるという野望はもちろんあるんですけど、必ずしもこの流れだけではない展開をにしたいですね。例えば、サターンロケットですとか。ああいう実在のものとか、そう、カウンタックでもいいな、って。

 

柳沢:

未来の車が合体するとスーパーカーになるような(笑)。

 

――最後に、読者のみなさんにメッセージをいただけますか。

 

田中:

スーパーミニプラというアイテムはいろんな意味で可能性の商品、シリーズだと思っています。ザブングルにかけられている期待や、このあとの展開に期待していただいてる皆様にも応えたい。一方で、もっといろんな広がりを可能性として持っている、自由な”食玩”というフィールドの商品です。「こんなのもできるんじゃないか、あんなのもできるんじゃないか」という、皆さん意見を寄せていただく機会も作りたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 

柳沢:

僕自身がやっぱり’80年代ロボットアニメにどストライクの世代なので、こういうアイテムに関わらせて貰えるだけで本当に感謝しているんです。なので、この状況を少しでも長く続けたいな、と思っていますので、応援をしていただきつつ、その皆さんの期待に違わぬように努力していくつもりですので、よろしくお願いします。

 

――本日は、どうもありがとうございました!

 

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以上、バンダイキャンディ事業部「スーパーミニプラ」開発者インタビューでした! 現在好評受付中の「スーパーミニプラ 戦闘メカザブングル」が、さらに待ち遠しくなる内容でしたね。

そして、次アイテムのヒントの赤いメカは一体……? 想像が膨らみます!

 

これからも電撃ホビーウェブでは「スーパーミニプラ」の情報を追いかけていきますのでご期待ください!

 

■インタビュー:佐野達郎/電撃ホビーウェブ編集部

interview by Dengeki Hobby:
http://hobby.dengeki.com/news/151919/

http://hobby.dengeki.com/news/153087/